KANSAS SONGS
JAPANESE INTERPRETATION
カンサスの歌詞を和訳して、その歌に秘められた意味を紹介しています。なお、これらの
曲の詩と和訳掲載に当たってはケリー・リヴグレン氏からの許可を得ています。
Thank you very much, Kerry ! カンサス/オフィシャルサイト
CARRY ON WAYWARD
SON CHEYENNE
ANTHEM
GROUND ZERO
ICARUS:BORNE ON
THE WINGS OF STEEL JOURNEY FROM
MARIABRONN
MASK OF THE GREAT
DECEIVER PARADOX PEOPLE OF THE
SOUTH WIND
PORTRAIT (HE
KNEW) SONG
FOR AMERICA THE WALL
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CARRY ON WAYWARD SON
(LIVGREN)
Carry on my wayward son There'll be peace when
you are done Lay your weary head to rest Don't you cry no
more
Once I rose above the noise and confusion Just to get a glimpse
beyond disillusion I was soaring ever higher But I flew too
high Though my eyes could see I still was a blind man Though my
mind could think I still was a mad man I hear the voices when I'm
dreaming I can hear them say
Carry on my wayward son There'll be peace when you are done Lay
your weary head to rest Don't you cry no more
Masquerading as a man with a reason My charade is the event of the
season And if I claim to be a wise man Well it surely means That
I don't know On a stormy sea of moving emotion Tossed about I'm like
a ship on the ocean I set a course for winds of fortune But I hear
the voices say
Carry on, you will always remember Carry on, nothing equels the
splendor Now your life's no longer empty Surely heaven waits for you
|
疲れ果てた我が子よ、前に進むのだ やがてお前にも静寂が訪れる その重い頭を休めるが良い もう二度と泣く事はない かつて僕は騒音と混乱の上に立ち上がった 幻滅の向こうにある光を見る為に かつてなく高く飛んでいたけど あまりに高く飛び過ぎたんだ この目は見据えてえていた 自分がまだ盲目であるって事を この心は知っていた 自分はまだ何も知らないって事を 夢を見る度に聞こえてくる あの声が聞こえてくる.......
疲れ果てた我が子よ、前に進むのだ やがてお前にも静寂が訪れる その重い頭を休めるが良い もう二度と泣く事はない
大きな理由を背負った人間の振りをして 仮面をつけ踊っていたんだ 自分自身がまるで大きな出来事であるかのように もし自分は賢者なのだと自惚れているのなら それはいかに無知なのかという証明なのさ 荒れ狂う感情の嵐の中 僕は海に転覆した船のようだった 運命の風に任せて進路を決めていた だけど今、あの声が聞こえてくる......
進め、お前は決して忘れないだろう この輝きを越える物など無い事を お前の人生はもう空虚ではない その行く手には天国が待つのみだ
|
NIKKI'S NOTE
天から声が聞こえてくる、という内容のこの曲が完成したのは1976年の事。今ではキリスト教信者で知られるケリー・リヴグレンも当時はまだ、その道には足を踏み入れてはいない。彼が本格的にキリスト教に目覚めたのが1979年の7月25日午前3時だという事だから、
その数年前に書かれた曲なのだ。
この曲の一節を聞くと思い出すシーンがある。それは1991年にアナハイムで観たコンサートでの事だ。アンコールで
演奏されたこの曲の 「あまりに高く飛び過ぎた」という一節を歌うスティーヴは自虐的な表情を見せ、自分の頭を殴る仕種を見せた。思えば何と予言的な歌詞なのだろうか。まるでケリーはやがて自信過剰になってゆくスティーヴの未来を描いていたようにも思えるのだ。この曲の大ヒットによりカンサスはその地位を
築く事になるのだが、数年後ステーヴはソロ活動に専念する為、バンドを去る。やがてソロ活動も暗礁に乗り上げカンサスに復帰するのだが、この曲を
歌い続けるのがまるでスティーヴの宿命になっているようだ。言ってみればこの曲の中の、疲れ果てた息子とはスティーヴで、そしてそれに語りかけるのがケリーというようにも聞こえる。
CHEYENNE ANTHEM
(LIVGREN)
From the mountains to the sun Life has only just
begun We wed this land And pledged our souls to meet its
end Life has only just begun Here my people roam the earth In the
kingdom of our birth Where the dust of all Our horses hides the
sun We are mighty on the earth On the earth......
You have come to move me Take me from my ancient home Land of my
fathers I can't leave you now We will share it with you No man
owns this earth we're on Now the wheels are rolling Hear the howling
winds of war It's my destiny to fight and die Is there no
solution Can we find no other way Lord let me stay Under the
endless sky And the earth below Here I was born to live And I
will never go, oh no
But we cannnot endure Like the earth and the mountains Life is
not ours to keep For a new sun is rising
Soon the days shall pass away For our freedom we must pay All our
words and deeds are Carried on the wind In the ground our bodies
lay Here we'll stay
|
山々から太陽へと 命は今、生まれたばかり 我々はこの大地と契りを交わし
その魂を捧げた 命は今、生まれたばかり 我らが民はこの地を放浪する 我々が生を受けたこの王国で
馬々の立ち上げる砂ぼこりが 太陽を覆うこの地で 大地の上で我々はたくましく生きている
この大地の上で......
お前達は私を追い出すためにやってきた 古来よりの故里から私を連れ去る為に
ああ、先祖達の生まれた大地よ あなたから離れる事など出来やしない お前達と分かち合おうじゃないか
我々を支えるこの大地 それは人間が所有すべき物ではない 今に馬車がやってくる こだまする戦の風を聞くが
よい 戦い、そして死にゆくのが我々の運命なのだ 何か解決策はないものか 他に方法はないのだろうか
神よ、私をとどまらせたまえ 果てしない空の下 そして足元の大地 私はここで生きる為に生まれた
決して去る事はない、決して.......
だけど我々には耐え忍ぶ事が出来ない この大地や山々のごとく
昇りゆく新しい太陽の為に 命を捧げても構わない
やがて日々は過ぎ去るだろう
自由の為に支払わねばならない代償があるのだ 我々の全ての言葉、そして全ての行ないは やがて風が運び去って
ゆく運命なのだろう 地面に横たわる我々の体
今、ここに眠るのだ.........
|
NIKKI'S NOTE
アメリカ先住民族・シャイアン族の讃歌だが、広い意味でアメリカ史の傷跡を歌った曲だ。カンサスは数多くのネイティヴ・
アメリカンに関する曲を書いた。そしてアルバム「MONOLITH」の内ジャケットにはこんな詩を綴った。やがて大地は砂ぼこりに覆われ、新しい地球が生まれる。長い間、葬り去られていたインディアンは蘇る。白人は消え去り、バッファローが戻ってくる・・・ ---GHOST
DANCE CHANT---
GROUND ZERO
(LIVGREN)
Days are short and time so dear
So very much remains to be
done
It's time to speak of one so near
'Til all the hearts have been
won
The day is coming
When men will look to the skies
The
consummation of all who realize
We are waiting for Ground Zero
The wall is high
Beyond is much to find
A barrier we built so
long ago
With fearful hope
And a faith that is not blind
From
clouds of joy
We'll see the depths below
The day is coming
When
men will look to the skies
The consummation of all who realize
We
are waiting for Ground Zero
Across the sea and far away
The eyes of all the world
Await the
Passion Play
The final act at last begun
The new is born
The old is bound to pass away
No more the turn of
the pages
And now the hope of the ages
For all the bondage is
broken
All who see
The oracles
Prophets of the past
Miracle of knowledge was
revealed
The plan was laid
Upon a strong foundation
Long ago the
future was sealed
The day is coming
When men will look to the
skies
The consummation of all who realize
We are waiting for Ground
Zero
We are waiting for Ground Zero
|
日々は短く、時は貴い そして多くは未だに成就されぬままに 今こそ我々の傍らにいる 「彼」の存在の事を話そう 全ての人々が改心する日が来るまで そしてその日は近付いているのだ 人々が空を見上げる時 受け入れた者達に成就の日が訪れる 我々はその日を待っている
高くそびえ立つ壁 その向こうは 発見されるべきモノで溢れている 恐れに満ちた期待によって その昔に造られた障壁 歓喜のモヤの向こうにある 決して盲目的ではない誓約 やがてその深みが分かるだろう その日が近付いている 人々が空を見上げる時 受け入れた者達に 成就の日が訪れる 我々はその日を待っている
海の向こうのはるか彼方 世界中の目が 受難の日を待っている 最期の行儀が始まったのだ 新しい命が生まれ 古きは去り行く運命にある もうページをめくる事もない 今、悠久の希望によって 全ての束縛は解かれた 真実に気付いた人々のために
聖なる書 過去の予言者達 人の知を超えた奇跡は 今あらわになった その計画は 強靱な土台の上に築かれていた その昔に未来は封印されていたのだ 人々が空を見上げる時 受け入れた者達に 成就の日が訪れる 我々はその日を待っている その日を待っている
|
NIKKI'S NOTE
これは1980年7月に発表されたケリー・リヴグレンのソロ・アルバム「SEEDS OF
CHANGE」のラストを飾る曲である。歌っているのは「HOW MUCH I FEEL」等のヒットで知られる
AMBROSIA のデイヴィッド・パック 。 ケリーはデイヴィッドの事をとても気に入っていて最近も共演をしているらしい。このアルバムの発表時、そのライナーノートには
この歌詞が余りに抽象的で意味が分かりにくい、と書いてあったがこうして訳してみるとその意味は明白だろう。
ただ理解しにくいのがタイトルの「GROUND ZERO」である。この事についてはケリー自身が再発盤CDのインタビューの中で説明している。そもそも「GROUND
ZERO」とは核爆弾の落ちたポイント(とそのインパクトの瞬間)を指す核物理学用語だが、ケリーはキリストの再来/復活をそれに例えてタイトルにしたと言う。核とは何の関係も無い。なお2001年9月11日、WTCビルが
テロ攻撃によって破壊されたが、今はこの地点が GROUND ZERO と呼ばれている。
このソロ・アルバムはその頃、キリスト教に改心したケリーがその信仰心から制作したモノだ。そしてケリーは自分自身がキリスト教に関する曲を多く書き始めたのをスティーヴが嫌い、カンサスを去る理由の一つになった、と説明している。
KERRY LIVGREN 自身のレーベル NUMAVOX
ICARUS:BORNE ON THE WINGS OF
STEEL
(LIVGREN,WALSH)
Early in the morning sunlight Soaring on the
wings of dawn Here I'll live and die With my wings in the sky And
I won't come down no more
Higher than the birds I'm flying Crimson skies of ice and
fire Borne on wings of steel I have so much to feel And I won't
come down no more
Sail on, sail on I will rise each day to meet the dawn So high,
so high I've climbed the mountains of the sky Without my wings you
know I'd surely die I found my freedom flying high I've climbed
the mountains of the sky
Floating on the clouds of amber Seaching for the rainbow's
end Earth so far below me I'm here alone and I Won't come down no
more,no
|
早朝の陽の光の中 夜明けの翼を背負って空を翔る 僕はここに生き、そして死ぬんだ 空の上で翼と共に もう二度と地上に降りる事もない
鳥よりも高く僕は飛んでいる 炎と氷に包まれた深紅の空を 鋼の翼を付け生まれ変わった 僕はこんなにも多くを感じる事ができる もう二度と地上に降りる事もないんだ
進め、進め 夜明けと出会う為に毎日昇るんだ もっと高く、もっと高く 空の山々を登るのさ この翼無しではもう生きてゆけない 高く飛ぶ事に自由を見つけたのさ 空の山々を登りつめるんだ
琥珀の雲の上を浮かびながら 虹の果てを探しているのさ 大地があんなに下に見える ここではたった僕一人 もう二度と地上に降りる事もないんだ
|
NIKKI'S NOTE
あまりにも有名なギリシャ神話を題材にしているわけだが、そもそも神話とは神々についての物語りだ。しかしこのイカルスの伝説に神は登場しない。そこに秘められているのは、神を恐れない人間が翼をつけ天に近づき、人の宿命を背負ったまま落ちてゆくという人間批判だろう。それからこの曲をモチーフにしたサイトがあるのでぜひ覗いて欲しい。
"Icarus Rising"というタイトルでMicheal E.Brooksという人が製作したサイトだ。かなり多くの画像を取り込んだ大作なので通常のアナログ回線だとロードし終わるまで時間はかかるが、その間にこの曲のMIDIヴァ−ジョンも聞ける。
By the courtesy of Mr. Micheal E. Brooks "The mission continues..."
JOURNEY FROM
MARIABRONN
(LIVGREN,WALSH)
Two began together , lived as one Each one to
the other had become More than a friend Living to meet a common
end They were true Each one knew all is well
Still the elder knew it could not last Hidden memories from the
young one's past Drew them apart Both knew that deep within their
hearts They must part each their own separate ways
It puzzles me How we can be so close And yet worlds apart Can
it be my memory Has torn my life in two from the very start
I scream for the devil to let me be I called to the heavens to set
me free Today I prayed for the answer And not one of your gods in
the sky Would rescue me , oh oh oh
Dreams of fortune fill the young one's mind Learn the worldly ways
of hope to find Love on the way Searching to find the light of
day In his soul he had found his own way
To each other they will soon return Destiny fulfilled Their words
will burn an eternal flame
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二人は共に生まれ まるで一つとなって生きてきた いつしか友人以上の仲となり 共通のゴールを目指し生きた 二人の存在こそが真実だった そして二人とも知っていた 全てがうまくいっていると
だけど年上の彼は知っていた それが長く続くものではない事を 若い友の過去に隠された記憶が 二人を引き裂いたのだ 心の奥底で二人は知っていた いずれ独自の道を歩まねばならぬ事を
どうしてなんだろう 僕達はあれ程親しかったのに 今では遠く離ればなれ もしかしたら僕の頭に中の記憶が 初めから人生を打ち砕いていたのだろうか 一人にしてくれと、僕は悪魔に向かって叫ぶ 自由にしてくれと、天国に向かって訴えるんだ 今日は答えをください、と祈ったのに 天上の神々の誰一人 この僕を助けようとはしてくれない
幸福の夢が若き彼の心を満たす 希望を見つけ出す世俗的方法を学ぶがよい その道にいつも愛を 陽の光を見つける為に模索を続けて そして魂の中で彼は見い出した 彼自身の道というものを
もうすぐお互いの元に戻ってゆくはず 運命は満たされたのだ 彼等の言葉は永遠の灯火を燃やすだろう
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NIKKI'S NOTE
1973年の夏、カンサスはニューヨークで一枚目のアルバムを録音した。それから半年以上経った1974年の3月にこのアルバムはやっと発売されたが、その中の一曲のこの大作はライブ・アルバム「TWO
FOR THE SHOW」にも収録され、ファンの間で人気の高い曲である。歌詞はヘルマン・ヘッセ(HERMANN
HESSE)の小説「NARCISSUS AND GOLDMUND(知と愛の人)」をベースに書かれている。
1974年のライブ映像
MASK OF THE GREAT DECEIVER
(LIVGREN)
Well he's the prince of the world His work is
never complete And though he promises all You'll lie a slave at his
feet Don't you know the world is his dominion Can't you see That
you're bound in his chains The time is short So take your strength
in what remains
He will fill up your ears And he'll dazzle your eyes But don't
believe what he's saying 'Cause he's the father of lies In your
heart Don't you know that he'll betray you In the end he will drag
you away Till all the world is cryin' For the judgement day
And he's fallen, oh he's fallen From the height of the morning
star Though his light's still shining brightly It's the mask of the
great deceiver Great deceiver Though the truth has walked among
us And the words that he spoke will remain There's a heartbreakin'
blindness upon us All our efforts to be free are in vain Without the
gift of love We're lost without love
Well he never will rest Until his evil is done And he don't want
you to know Your freedom is already won Don't you know the world is
his dominion Can't you see He keeps it in his chains The time is
short So take your strength in what remains
Fallen, oh he's fallen From the height of the morning star Though
his light's still shining brightly It's the mask of the great
deceiver The mask of the great deceiver He's gonna make you a
believer He'll tell you lies He'll bring you lies The great
deceiver
|
そう、彼は全世界のプリンス だがその業が成し遂げられる事はあり得ない 彼は全てを約束するが やがて君は奴隷となり 彼の足下にひれ伏すだろう 世界が彼の領域だと分かっているかい 彼の鎖につながれている姿が見えるかい 時はあまりに短い だから残った時間の中で君の強さを示すんだ
彼は君の耳を奪ってしまう そして君の目をくらます だけど彼の言う事は信じてはならない 何故って彼は嘘のかたまりなのだから 心の奥底で やがて裏切られる事が分からないかい しまいに彼は君を引きずり落とすのさ やがて世界が最後の日を 待ちわびるようになるまで
彼は落ちていった 明星の孤高から落ちていった その光りは今も明るく輝くけれど それは欺きの仮面なのさ 欺く悪魔の仮面なのさ
真実は我々に歩み寄ってきたのに 彼の言葉は今も残る 我々は皆、心を砕くような どうしようもない盲目なのだろう 愛という贈り物がなければ 自由の為に支払った犠牲も無駄になる 愛がなければ報われる事もない
その悪業がなされるまで 彼の休む日は来ない 彼は君に知って欲しくないのさ もうすでに自由を手にしているって事を 世界が彼の領域だと分かっているかい 彼の鎖につながれている姿が見えるかい 時はあまりに短い だから残った時間の中で君の強さを示すんだ
彼は落ちていった 明星の孤高から落ちていった その光りは今も明るく輝くけれど それは欺きの仮面なのさ それは欺く悪魔の仮面なのさ 彼は君に信じ込ませようとするだろう 彼は嘘をつくだろう 全ては嘘なんだ 欺きの仮面なんだよ
|
NIKKI'S NOTE
ケリーのソロアルバム 「SEEDS OF CHANGE」に収録され、ヴォ−カルにロニー・ジェイムス・ディオを起用した事で話題を集めたナンバー。何せこの80年当時、ロニーは
BLACK SABBATH に在籍していたのだ。キリスト教信者となったケリーが何故、ロニーに要請したのか、議論を呼んだと言う。しかしこの曲は悪魔について歌った歌なのだから、実にマッチしているだろう。だがロニー
はもう一曲「TO LIVE FOR THE KING」も歌っていて、それは対照的に神について歌った曲だ。いずれにしてもケリー
はその以前からロニーを気に入っていて、是非一緒に仕事をしたかったらしい。ケリーはクリスチャン・アルバムを作るつもりでいたが、その事はレコーディングが終了するまでロニーに伝えなかったそうだ。しかし、この曲のロニーの歌に感嘆したカンサスのメンバーは「AUDIO
VISIONS」のツアーでこの曲もレパートリーに加えている。
貴重な KERRY, VICTORIA, RONNIE の写真
PARADOX
(LIVGREN,WALSH)
I'm on fire Burning with the question in my
mind Strange desire Seems there's nothing else for me to
find 'Cos I've been here And I've been there Seems like I've been
everywhere before Seen it all a hundred times Still I think there
surely must be more
I've been livin' I had to take my time And change my style Now
I wonder Is something gonna Make it all worthwhile?
I know there's more than meets the eye Like to see it before I die
for sure Something tells me It's allright Only one step farther
to the door
There ain't no feelin' Feels the same as finding out the key Now
I'm reelin' Thinking of the things That I might see
I'm not afraid to face the light I'm not afraid To think that I
might fall I was going nowhere fast I was needing Something that
would last
|
今、僕は炎の中にいる 心の奥の疑問が火をつけたからさ 不思議な欲望 もうこれ以上、何も見つけるべき物はないのか? あちこちでありとあらゆる物を見て来た でもまだ、きっと何かが見つかるはずなんだ
ここまでの道程 時には立ち止まり 生き方を変えなくてはならない事もあった 今、疑問に思う 何か自分にもたらしてくれる物など あるのだろうか?
核心をつらぬくという事 きっとそれ以上のものがあるはず それを死ぬまでには知りたいんだ 何かが語りかける それでいいんだ あと一歩で扉にたどり着くと
もう感覚さえなくなってしまった まるで鍵を見つけ出すのと 同じような事なのか まるで目が回るようだ 何かが見つかるかも知れない・・・ その事を考えただけでも
光と向き合う事を恐れてはいない もしかしたら落ちてしまうと 怖がってはいないんだ やみくもにただ早く 走り続けただけだったけど 僕に必要だったのは 永遠に残る何かなんだ
|
NIKKI'S NOTE
日本語におけるPARADOXの定義とは「矛盾」「逆説(矛盾のようで正しい説)」となる。しかしこの言葉の持つ意味はもっと深い。
1990年前後に「THE MILLENNIUM」という映画が封切られた。千年先の未来からやって来た未来人が現代人を誘拐し未来に連れて行く、という内容だったが、その未来人が恐れていたのがPARADOX
だ。どういう事かというと、未来に存在している人間が過去に遡り過去を変えてしまうと、未来にPARADOX
現象が起こり未来を壊してしまう事になる.......つまり、未来人によって過去の人間が殺されたりすると、その人が残したはずの歴史、特に祖先の体系が崩れてしまい未来の一部がなくなってしまう(祖先は消えてしまう)、という事だ。この映画の中でPARADOX
とは「あってはならないけどある物、又は人」を指している。
PEOPLE OF THE SOUTH WIND
(LIVGREN)
There are some who can still remember All the
things that we used to do But the days of our youth were
numbered And the ones who survived it are few Oh,I can still see the
smiling faces When the times were so good All in the old familiar
places I'd go back if I could
People of the south wind People of the southern wind (To the
People of the wind Hey, I got to be there again)
Well, it's a hard thing to face the music But it's something
everybody has got to do So I hope that I can always remember All
the crazy times we had to go through Now it's a dream that is slowly
fading Oh I don't wanna go All of the memories are evading And I
want you to know
People of the south wind People of the southern wind (It's the
People of the wind I got to be there again)
Now we've traveled all across the oceans And we've seen what there
is to see But I guess it's not the proper solution Coz it's all
about the same to me Now I look back and it makes me wonder Why we
just couldn't see All of the battles we fought and won there Oh I
wish that I could be
People of the south wind People of the southern wind (Yeah with
the People of the wind I wanna see'em again It's where we used to be
free And that's the place for me It's just a state of my mind..)
|
何人かはきっと覚えているはずさ 遠い昔の行ないの全てを だけど若き日々は限られていて 残された者もほんの僅か ああ、今もはっきり思い出せるよ 良き時代の笑顔の数々 あの古き懐かしい場所へ 出来るなら戻りたいんだ
南風の人々 あの人々の元へ もう一度行かなきゃ
そう、現実に立ち向かうのは大変さ だけど誰もがやらなきゃならないんだ だからいつまでも忘れずにいたい 俺達のすり抜けた、あの不思議な時代を 今じゃそれもゆっくり消えゆく夢なのさ ああ、ここを去りたくないんだ 記憶の全てが遠ざかってゆく 君には知っていて欲しいんだ
南風の人々 それは南風の人々 もう一度あの場所に行かなきゃ
俺達は海を渡って旅をしてきたんだ 見るべき物を見てきたんだよ だけどそれが必ずしも正しい解決策とは思えない だってどっちにしろ、同じようなものだから でも今、振り返ると不思議に思うんだ なんで俺達には分からなかったんだろうって あの地で戦い、そして勝利を得た ああ、今も一緒にいたいよ
南風の人々 南風の人々と一緒に もう一度逢いたいんだ 皆が自由だったあの地で あの場所は俺のものなんだ それは心からの渇望なんだ
|
NIKKI'S NOTE
1979年に発表された「MONOLITH」に収められていた曲。このアルバムの見開きのジャケット、その裏表に描かれていたのは廃虚と化した街、そしてカプセルのようなマスクをかぶり、祈りを捧げるアメリカ原住民の姿だった。当時はコンセプト・アルバムとして紹介されていたが実はこのジャケットに関連した曲は1曲もない。しかしこの「PEOPLEOF
THE SOUTH WIND」というのはカンサ族インディアンのKANSASという言葉の意味だ。曲の内容についてケリーはこう語っている。「この曲は昔、一緒にいた人達の事を歌っているんだ。彼等が
PEOPLE OF THE SOUTH WIND なんだよ。昔カンサスに住んでいた頃は実に興味深い時代だった。バンドで成功し、レコードを何百万枚も売るようになって気が付いたんだ。少しノスタルジックになってね。若かった頃はもっと理想を追い求めていて、ただ素晴らしいミュージシャンになる事だけが全てではなかったんだよ。」
アメリカのファン・サイト THE PEOPLEOF THE SOUTH WIND
PORTRAIT (HE KNEW)
(LIVGREN,WALSH)
He has a thousand ideas You might have heard his
name He lived alone with his vision Not looking for fortune and
fame Never said too much to speak of He was off on another
plane The words that he said were a mystery Nobody's sure he was
sane But he knew He knew more than me or you No one could see his
view Oh where was he going to?
He was in search of an answer The nature of what we are He was
trying to do it a new way He was bright as a star But nobody
understood him "His numbers are not the way" He was lost in the
deepest enigma That no one's unraveled today
But he knew He knew more than me or you No one could see his
view Oh where was he going to? And he tried But before he could
tell us he died When he left us the people cried Oh where was he
going to?
He had a different idea A glimpse of the master plan He could see
into the future The true visionary man But there's something he
never told us It died when he went away If only he could have been
with us No telling what he might say
But he knew He knew more than me or you No one could see his
view Oh where was he going to? But he knew You could tell by the
picture he drew It was totally something new Oh where was he going
to?
|
彼は数え切れない程のアイデアを持っていた 君も彼の名を聞いた事があるはずだ 彼はヴィジョンと共に生きた お金や名声を求めていたのではなく・・・ 彼は多くを語らなかった きっと別の次元からやってきたのだろう 彼の言葉はまるでミステリー とても正気だとは思えなかった だけど彼は知っていたんだ 僕達よりもずうっと多くの事を 誰も彼の言う事を理解できなかった 一体どこへ行こうとしていたんだろう
彼は常に答えを探していたんだ この世の根本的な摂理を それを新しいやり方で示そうとした 彼は星のように輝いていた だけど誰も彼を理解できなかった こんな公式などありえない、と言って・・ 今もなお解かれていない深い謎の中で やがて彼自身も失われていってしまった
だけど彼は知っていた 僕や君よりずうっと多くの事を 誰も彼の言う事を理解できなかった 一体どこへ行こうとしていたんだろう 彼は挑み続けた だけどそれを公表する前に死んでしまった 彼が去った時、人々は嘆いた 彼は一体どこへ行こうとしていたんだろう
彼は異なるアイデアを持っていた 疑いのない真理を垣間見ていた 彼には未来が見えていたのだろう 真なる予言者だったのだから しかし彼が明らかにしなかった何かがきっとある それも彼の死と共に葬り去られてしまったけど・・・ もし彼が今も生きていたら 彼は一体何を言っただろう
だけど彼は知っていた 僕や君よりずうっと多くの事を 誰も彼の言う事を理解できなかった 一体どこへ行こうとしていたんだろう だけど彼は知っていた 彼の描いた絵を見れば分かるだろう それは全く新しい物だった 彼は一体どこへ行こうとしていたんだろう
|
NIKKI'S NOTE
これはアインシュタイン(Albert Einstein 1879-1955 ドイツ生まれのユダヤ人物理学者)について歌った歌である。以下はケリー・リヴグレンの言葉。「私はいつもアインシュタインに興味をそそられていた。特に彼が数学や物理学を追求するあまり、心理学や哲学の分野にも足を踏み込んだ事にね。彼は宇宙の構造を解きあかそうとしていたんだ。なんて凄い人なんだろうって、いつも感心していたよ。だから彼についての歌を書こうと思っていたんだ。」
SONG FOR AMERICA
(LIVGREN)
Virgin land of forest green Dark and stormy
plains Here all life abounds Sunlit valley, mountain
fields Unseen in the rain Here all life abounds No man rules this
land No human hand has soiled this paradise Waiting patiently, so
much to see So rich in earth's delight
Painted desert, sequined sky Stars that fill the night Here all
life abounds Rivers flowing to the sea Sunshine pure and
bright Here all life abounds No man rules this land No human hand
has soiled this paradise Waiting patiently, so much to see So rich
in earth's delight
So the maiden lies in waiting For the sail to reach the
shore Land of beauty and abundance Innocent, you opened wide your
door Wanderers found the waiting pleasure Full of gifts beyond their
measure Milk and honey for our pleasure
Across the sea there came a multitude Sailing ships upon the
wave Filled with visions of utopia And the freedom that they
crave Ravage, plunder, see no wonder Rape and kill and tear
asunder Chop the forest, plow it under
Highways scar the moutainsides Buildings to the sky People all
around Houses stand in endless rows Sea to shining sea People all
around So we rule this land And here we stand upon our
paradise Dreaming of a place Our weary race is ready to
arise
|
緑の森に囲まれた処女地 暗黒の嵐の中の平原 ここにはあらゆる命が富んでいる 陽に輝く峡谷、そして山々 降りしきる雨の中で あらゆる命が富んでいる この地を支配した者は無く、 このパラダイスを汚した者はいない 長らく待ち続けた 見渡す限りはるか彼方に広がる豊かな大地
薄化粧の砂漠、彩られた空
星達は夜を満たし
あらゆる命が富んでいる
河々は海へと流れ
陽の光は清く、明るく
あらゆる命が富んでいる
この地を支配した者は無く、
このパラダイスを汚した者はいない
長らく待ち続けた
見渡す限りはるか彼方に広がる豊かな大地
そして処女地は待っていた
曳航が岸辺へたどり着くその日を
美しく、そして豊かなその大地
清純にお前はそのドアを開いた
流浪者たちはそこに待ち続けていた幸福を見つけた
計り知れない賜物の数々
喜びを満たすミルクとはちみつ...
たくさんの人々がやって来た
船に乗って波を超え自由を求め
ユートピアへの夢に胸をふくらませ
破壊、略奪、
何の不思議でもない
強姦、殺人、まるで引きちぎる様に
森を切り開き、耕すんだ
ハイウェイが山肌を切り刻み
空高くビルディングがそびえ立つ
あちらこちらで人があふれ
家々が限りなく並んでいる
光り輝く海から海へと
人があふれている
そう、我々はこの地を支配する
そして今、このパラダイスの上に立ち上がるのだ
いつまでも夢を見ながら
その疲れ切った戦いが今、始まろうとしている
|
NIKKI'S NOTE
ケリーはこの曲の歌詞をレコーディングのために向かっていた移動中に書いたそうだ。つまりニューヨークからロサンジェルスへと向かう飛行機の中で。その中に繰り返し使われる大地という言葉からもそれが伺える。アメリカ賛歌と呼ぶには余りにも現実的な歌詞ではないだろうか。
THE WALL
(LIVGREN,WALSH)
I'm woven in a fantasy I can't believe the
things I see The path that I have chosen now Has led me to a
wall And with each passing day I feel a little more like something
dear was lost It rises now before me A dark and silent barrier
between All I am and all that I would ever want to be It's just a
travesty Towering, marking off the boundaries My spirit would
erase
To pass beyond is what I seek I fear that I may be too weak And
those are few who've seen it through To glimpse the other side The
promised land is waiting Like a maiden that is soon to be a
bride
The moment is the masterpiece The weight of indecision's in the
air It's standing there The symbol and the sum of all that's
me It's just a travesty Towering, blocking out the light and
blinding me I wanna see
Gold and diamond cast a spell It's not for me I know it
well Treasures that I seek Are waiting on the other side There's
more than I can measure In the treasures of the love I can find And
it's always been with me I must tear down the wall and let it be All
I am all that I was ever meant to be In harmony, shining true And
smiling back at all who wait to cross
THERE IS NO LOSS woh woh
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夢想の世界に包み込まれて 目にしている事さえ信じられない 自分が選んできたこの道は いつしか僕を「壁」へと導いていた そして過ぎ行く日々と共に 心を寄せていた何かが消えてしまった様だ それは今、僕の前に立ちはだかる 己自身と、夢に見た自分の姿の間にある 冷たく物も言わないバリア 本当に馬鹿げたもんさ それは高くそびえ立ち この魂が消し去るであろう境界に 区切りをつけている
望む事はそれを超える事 もしかしたら僕は弱すぎるのかもしれない だけど見通してきた人たちもいる この向こう側を垣間見る様に 約束の地は待っている まるでもうすぐ花嫁となる娘のごとく
この瞬間こそが最高の芸術 優柔不断という重力は空に浮かび そこに立ちはだかっている その意味する象徴、そして僕の全てを映す鏡 それはただの馬鹿げた空想 高くそびえ立ち、 光をさえぎりそしてこの僕の目をくらます 今、見たいんだ......
黄金やダイアモンドは呪文をかける 分かってる、僕には関係ないんだ 宝はこの向こう側で待っている それは計り知れないものだろう 僕には見える、愛に埋もれた宝の数々が それはいつもそばにあったというのに この壁を叩き壊すんだ、そしてそのまま行こう 己自身と、自分のあるべき姿... 旋律の中で光り輝き そしてこちらへ来るのを待ち続ける者達に 笑いかけている 何も失う物なんて何もないんだよ、と...
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NIKKI'S NOTE
アメリカのカンサス・ファンの間で最も人気のある曲の一つである。やはり何といっても歌詞の内容が素晴らしいからだ。1980年に来日した時、確か雑誌「PLAYER」のインタビュー記事の中で「この曲のヴァ−スの部分に聞こえるアルペジオはギターですか?キーボードですか?」という質問があった。その質問に答えたメンバー(多分スティーヴ?)は答えを避けていたが、これはハープシコ−ド系のキーボード音である。
父親の所有していたロウリ−・オルガンで書いたというこの曲に関してケリーはこう語っている。「この歌詞はその時代に書いた作品の中でも自分の中にある探究心を最も適格に表現してる
だろうね。我々は一体誰なのか、何故こうして生きているのか、などといった疑問に対する答えを追求していたんだ。その時は
まるで見えない壁が私の前にあり、もうそれ以上前へ進めない様な気がしていたんだよ。」