DIO / HOLY DIVER
LYRICS
& MUSIC by Ronnie James Dio
ロニーはイタリア系移民の家系で、ローマン・カソリック教会の影響を受けた家庭に育っている。しかしキリスト教には相当の不信感をいだいていたようだ。以下は彼のインタビューから抜粋。
「私は教会の考え方には同意しない。正しい行いを行わなければ地獄に落ちる、という教え方に疑問を感じるんだ。キリストは十字架に打ち付けられたと言うけど、きちんとその出来事にある背景を説明せずに、まるで脅すように教義を押し付ける。教えを信じて規則に従わなければ地獄で火あぶりにあうぞ、とかね。そんな考えには納得がいかないんだ。現代は人類が約一万世代を経て形成されたものだ。そして現在、約50億もの人口が2倍になるのにたった一、二世代しか要さない。しかしカソリックはバース・コントロール(避妊)を許可しないままだ。いくらでも子供を産めと言うのさ。確かにモラルを広める事は有意義だが、私はカソリックの教義には賛同できない。」
そしてアルバム「HOLY DIVER」のジャケットカバーに関してこうも言っている。
「このデザインに関していつも聞かれるよ。なぜ怪物(又は悪魔)が神父を殺しているんだ、と。私はこう答える。いやそうではない、あの絵は神が怪物を殺している絵だよ、と。問題はその絵をどう見るかだけど、何より大事なのはその中身(音楽)だ。大体、神の外見がどんなものかなんて誰も知らないわけだからね。」
かつてヨーロッパ人はキリスト教布教のために海を渡った。そしてそれ以前から栄えていた南半球の帝国の数々は、彼らによって滅ぼされる結果となった。ロニーが言う「神が怪物を殺している」というジャケット。怪物はキリスト教伝来の影で滅びていった人々の化身なのか、それとも神の実の姿なのか・・・・。
HOLY DIVER
Holy Diver /
You've been down too long in the midnight sea
Oh what's becoming of me
Ride the tiger / You can see his stripes but you know he's clean
Oh don't
you see what I mean
聖なるダイヴァーよ / 真夜中の海の中、そこにお前は長く潜んでいた
ああ、私に何が起ころうとしているのだ
虎の上に乗るんだ / 奴の縦じまが見えるだろうが、その潔さも知っているだろう
私が何を言っているか、わかるかい
(聖なるダイヴァー。自ら神聖を名乗り、海を渡ってやって来た白人。インカ帝国のインディオ達は肌の白い人々を神の再来と考え、抵抗もせずに滅んでいったと言う。ヨーロッパ人は虎のように聖なるシマ模様をまとって見えたのか・・・)
(Got) Shiny diamonds / Like the eyes of a cat in the black and blue
Something is
coming for you
Race for the morning / You can hide in the sun 'till you see the light
Oh we will pray it's all right / Gotta get away-get away
輝くダイアモンド / 黒と青色の混じった猫の瞳のように
今、何かがお前にせまっている
朝に向かって逃げろ / 光が見えるまで太陽に隠れるんだ
我々は祈る、きっと大丈夫さ / 逃げなくてはならないんだ
Between the velvet lies / There's a truth that's hard as steel
The vision never dies / Life's a never ending wheel
ベルベットの虚実の狭間に / 鋼鉄のように頑強な真実がある
この記憶は決して消えはしない / 人生こそ終わることのない輪・・・
(ベルベットの虚実。それはヨーロッパ人がもたらした信仰や文明への約束だろうか。その記憶は消えはしない。そして頑強な真実とは・・)
ロニーは明らかにキリスト教に対して疑問の念を抱いていた。その疑問が具体的に書かれているのが、ブラック・サバス時代に発表した THE SIGN OF THE SOUTHERN CROSS である。