DIO / INVISIBLE
               LYRICS & MUSIC by Ronnie James Dio


ロニーは「Invisible」についてこう語っている。「この曲は人々が背負っている問題を三つに分けて書いたものだ。少女と少年、そしてもう一つは私自身の経験について書いている。3番の歌詞は自分自身の事なんだよ。生きることを考察した上で思ったことを歌っている。私が書く曲はみなそうだけどね。こうした悲劇を知らない人は、多くの人がこのような問題を抱えている事に気付くべきなんだ。」

ロニーの曲の多くは中世・近世の出来事や魔術、ファンタジーなど歴史、あるいは空想の世界について書かれたものだ。本人はそれが人生について書かれたものだと言うが、一般的には人が個々に抱えている問題と言うより、ロニー独自の世界観の中でのインスピレーションによる歌が多い。しかし確かに孤独な子供の生き様をテーマにした曲も見つけることができる。「Rock'N'Roll Children」「One Night In The City」、そしてこの曲もその中に当てはまる。

またロニーは長い間、CHILDREN OF THE NIGHTという少女・少年達を売春から救う慈善団体に協力している。これについてこうロニーは語る。

「とてもタフな子供たちなんだ。彼らは私が体験しなかった多くのことを体験してきた。それについて話すのはつらい事だけど、同情は何も解決してはくれない。彼らはそんなものを必要としているわけではないんだ。彼らの立場になって考えなくてはならないんだよ。君だって何も特別な存在じゃない。彼らと何の変わりはないんだからね。多くの慈善団体はそういった子供たちに神を信じなさい、と言う。人々の中には宗教や神に頼る必要を感じる人もいるからね。だけどこの子供たちはあまりに色んな経験をしてきた。彼らはもはや神に頼ろうとはしない。彼らにとって世界はもっと現実的なものなんだ。だからこのチルドレン・オフ・ザ・ナイトは普通の慈善団体とは違うのさ。」

INVISIBLE

If your circle stays unbroken / then you're a lucky man
'Cause it never, never, never has for me
In the palace of the virgin / lies the chalice of a soul
And it's likely you might find the answer there

君の輪が壊れないでいるとしたら / 君はラッキーな男さ
だって僕の輪はいつも壊れてしまうんだ
ヴァージンの宮殿には / 魂を宿す杯(さかずき)が置いてある
多分君も、そこで答えを見つけだせるかもしれない

(ここで言う「輪」とは、家族を含めた人間関係を指していると思われる。つまり家族の輪が壊れていないのなら君は幸運だと言っているのだろう。ヴァージンの宮殿は家出少年・少女に与えられるシェルターを意味してるのかもしれない)

She had fourteen years of teenage tears / and never a helping hand
She had fourteen more of rain before she saw the sight of land
She was a photograph just ripped in half / a smile inside a frown
And then the light, the answer right inside her coming down
I can go away / I can leave here / I can be invisible

彼女は14年も幼き涙を流してきた / 誰の助けもなしに
その島に辿りつく前に、14年もの雨に打たれた
彼女こそ二つに引きちぎられた写真だった / 困惑の中の微笑だった
そして光が、その答えが彼女の内面におとずれた
出て行ってもいい / ここからいなくなってもいい / 誰の目にも見えなくなるわ

(その島とはやはりシェルターを意味するのではないか。そして二つにちぎられた写真は離婚した親を意味すると解釈できる。)

He was just eighteen and in between a lady and a man
He's daddy's girl in momma's world / and that was when he ran
You know the word confused has been abused / but that's just what he was
And then the spark inside the dark / the answer came because it said
You can go away / you can leave here / you can be be be be be...

彼はわずか18歳、ただの男と女の狭間で生きていた
母親にとって、彼は父親にべったりついた娘のようだった / そしてその時、彼は逃げ出した
言葉は混乱へと導かれ、乱用されていた / だけどそれが彼のやり方だった
そして闇に閃光が走り / 答えが見えてきた / それは彼にこう告げていた
出て行ってもいいんだ / ここからいなくなってもいいんだ / お前はもう・・・・

(He's daddy's girl は父親から性的虐待を受けた少年という解釈で間違いないだろう。つまり父親から虐待を受け、親を罵り、そして蒸発した少年の事を歌っている。)

Well, I grew up quick and I felt the kick of life upon a stage
So, I bought the book and took a fast look at just the very last page
It was a single word that I'd just heard from the two that came before
The only way to really stay is to walk right out the door
You can go away, you can leave here, you can be invisible
You can go away, you can leave here, you can be invisible
You can go away, Lord, you know it's right to leave here, so I just became invisible

私は人より早く成長した / ステージの上で生きる喜びを感じていた
ある日、聖書を買ってきて、最後のページだけ目を通したのさ
それは以前、現れた二人が残したのと同じ言葉だった
本当に生き残ろうと思うなら、このドアを開けて出て行くしかない
出て行ってもいいさ / ここからいなくなってもいいんだ / 誰の視野からも消えて
出て行ってもいいさ / ここからいなくなってもいいんだ / 消えてしまっても
主よ、出て行く事が正しいと、あなたは知っているであろう
だからたった今、私は消えたのさ

(この節がロニー本人の事を歌った部分である。生き残ろうと思うならドアを開けて出て行くしかない・・・。謎解きのようだが、恐らく自分が自分のままでいようと思うなら、出て行くしかない、という意味ではないか。ロニーも若い頃、家庭内に問題を抱えていたと言う。)


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